実践 Dynamics 365 July 2017 update overwiew(1)

久々に連載を開始します。

2017年7月にDynamics 365(CRM)にメジャーアップデートが予定されています。

現在のv8.xからv9.xになるようです。これに関する記述をしていきます。

 

■今回のアップデートの内容

2017年7月23日時点ではTechnet的なサイトにWhat’s newとして記載があります。

こちらの内容を中心に記載していきたいと思います。

アップデートされた機能に関しては実際に操作してみてから記載したいと思います。

まだ提供はされていませんので、次回以降に順次記載します。

参照サイトはこちらです。

 

■非推奨・廃止の機能/カスタマイズの発表

今回は、機能面以外の情報を記載します。まずは、非推奨・廃止となる見込みの機能です。

 

・Outlookクライアントの非推奨化

最も大きなアナウンスであると思われます。日本でDynamics CRMが展開されて以来、

メール連携機能として、クライアントPCにインストールする形式で提供されたアプリを

意味していると思われます。July 2017 Updateより後のメジャーアップデートで

廃止されることが記載されています。

 

・サービスモジュールのスケジュールの非推奨化

明確な機能説明がないので、間違っている可能性がありますが、おそらくサービス活動を

意味しているものであると思われます。数年前より、「フィールドサービス」ソリューションが

提供され始めました。これのスケジュール機能に代替していくという感じでしょうか。

こちらも今回のアップデートより後のメジャーアップデートで廃止される見込みです。

 

・ダイアログの非推奨化

データ入力をダイアログ対話形式で標準化してくれる機能として提供されている

「ダイアログ」も今後廃止予定です。タスクフローや業務プロセスフローで代替される

ことが記載されています。コールセンター業務として利用しているユーザーは利用している

可能性がありますので要注意です。

 

・一部のAPIが非推奨化

GUIカスタマイズ以外で最も大きなものはこれでしょうか。

Xrm.Page関連の廃止が見込まれています。多くの処理を新しい記述方式に変更する必要があります。

 

・その他

参照サイトを参照ください。FAQや契約エンティティも廃止見込みです。

※お知らせや顧客間関係エンティティがやっと廃止されるようです。

 

■Business Edition

2017年初旬より、このエディションが提供されるとの噂が出始めたと記憶しています。

こちらのサイトによると2017年下期(2018年以降)に提供される見込みとのことです。

 

■プラットフォームの分離

Business Editionでの参考サイトにも記載されていますが、

プラットフォームが細分化されるようです。クラウド時代に最新機能を迅速に提供するには

当然の方向性ですが、それぞれをつなぐ役割がより重要となってきます。

Flow(IFTTTのようなデータ連携サービス)やPowerApps(アプリ開発プラットフォームサービス)

をDynamics 365のサービスとして位置付けていることはこれを意識したものでしょうか。

より連携を幅広く、強固にするには、CDataの連携ツールなどを活用することも大切だと思います。

 

以上です。次回はカスタマイズ機能に関する記載をしたいと思います。

実践 Dynamics 365 サービス概略(5) PowerAppsサンプルアプリ

今回はPowerAppsのサンプルアプリを作ってみたいと思います。

前段で触れたとおり、承認のモバイルアプリを作ってみたいと思います。

まずは、想定する業務をまとめておきます。
利用者は営業部とします。
営業担当者が顧客訪問をして認識した案件を登録・管理していくシーンとします。
販売するものはDynamics365導入サービスのようなサービスを想定します。
導入サービスの販売は物販と比較して以下の特徴があると考えます。
・案件規模が大きく、検討が長期化しやすい。
・提案活動に営業以外の部門が関わるケースが多く、提案コストが肥大化しやすい。
このようなことが想定されるため、提案活動の初期段階では案件を評価するというフェーズを設けることが多くなります。

今回は営業担当者が案件を評価し、その内容を営業マネージャが承認するという業務を想定したいと思います。

まずはDynamics 365(CRM)の画面を説明します。
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営業案件の画面を少しカスタマイズしました。
左の列は案件の全般情報であり、真ん中の列が今回承認してもらう内容です。右の列はその承認情報です。

業務の流れは、営業担当者は承認者を選択して保存すると承認者にメールが送信され、
その内容を営業マネージャが承認するというものとしました。
メール送信や承認履歴の情報はワークフロー(プロセス)を利用しています。
この点のカスタマイズやExchange Online連携の設定方法は割愛します。

さて、具体的なPowerAppsアプリの作成をしてみたいと思います。
PowerApps管理機能はDynamics365の試用環境をオープンすると同時にランチャーに表示されます。
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PowerAppsをクリックするとPowerApps管理画面に遷移します。
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この画面から中央の「作業の開始」をクリックします。
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PowerAppsの開発環境を選択します。右のWeb(ブラウザ)バージョンにしてみます。
数分で以下の画面が起動します。起動しない場合はIEなどのブラウザに変更してみてください。
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Dynamics 365の「電話番号レイアウト」をクリックし、「接続」をクリックします。
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接続するデータセットの設定画面が表示されます。
Dynamics 365を選択し、組織名(ここではmasa201701)をクリックします。
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テーブルの選択画面が表示されます。
Dynamics 365(CRM)のどのエンティティを処理するのかを選択します。
ここでは、承認履歴を選択します。
※承認履歴エンティティは営業案件と1:Nの関連をもつエンティティとしています。
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PowerApps Studioでアプリのビルドが始まります。
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ビルド直後画面が以下です。
左のペインには3つのフォームが表示されています。
上から、ビュー上の表示、フォーム上(読み取り専用)の表示、フォーム上(編集用)のフォームのようです。
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まずは「ビュー上の表示」をカスタマイズしてみたいと思います。
右のペインのオプションから別のレイアウト選択してみました。フォームの表示内容が変更されます。
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右のペインの「”テキスト”」プルダウンをクリックすると、フィールドの一覧が表示されます。
これを選択していきます。ワークフロー(プロセス)の設定方法に似ています。
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既定の4フィールドに対し、フィールドをマッピングします。
マッピング時の注意は以下です。調べれば回避策はあるかもしれませんが、初見ではわかりませんでした。
・修正日は選択できないようです。
・選択したエンティティ以外の項目はエンティティ同士が関連していても選択できません。
・lLookup項目はGUIDが表示されます。値を参照することはできません。
※Lookup項目の値参照はこちらにヒントがありました。

事前に何かデータを作成しておくと、サンプルデータが表示されます。
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次に「フォーム上(読み取り専用)の表示」をカスタマイズしてみたいと思います。
左のペインの真ん中を選択します。
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フィールドを変更したいと思います。
目のアイコンで表示/非表示が切り替えられます。表示の上下はドラッグアンドドロップで変更できます。
ボタンアクションですが、削除のボタンをなくしました。
※本来はボタンワンクリックで処理をするようにしようとしましたが、初見ではうまくいきませんでした。
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最後に「フォーム上(編集用)のフォーム」をカスタマイズしてみたいと思います。
「フォーム上(読み取り専用)の表示」と同じように変更が可能です。
処理項目は「承認」のみですので、「承認」フィールドのみを表示させます。
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カスタマイズは以上です。色々テストしながら進めて、3時間程度で完成しました。

できたアプリケーションは保存が必要です。ファイルタブをクリックし、「名前をつけて保存」します。
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このアプリの共有(公開)範囲を設定します。
アプリから共有を選択します。
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利用させたいユーザーを追加します。
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では動作を確認してみたいと思います。
モバイルのアプリをダウンロードし、アプリケーションを起動し、認証情報を入力します。
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アプリケーションが表示されるのでタップします。
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承認一覧画面が表示されます。以降はイメージだけ添付します。
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結果として、Dynamics 365(CRM)上では以下のようなイメージにすることができそうです。
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以上、PowerAppsでサンプルアプリを作成してみました。
あくまでサンプルということで色々省略しているところはありますが、それなりのスピード感でアプリが作成できることが分かりました。
次回はFlowでデータをつなげてみたいと思います。

実践 Dynamics 365 サービス概略(4) PowerApps/Flowサービス概要

今回はPowerAppsとFlowの製品概要に触れてみたいと思います。

まずは製品サイトに触れておきたいと思います。
多くの情報はありませんが、こちらにラーニングコンテンツがあります。
実際にアプリを作成する際はこちらを参考にするのがよいと思います。
次回以降で作成するサンプルアプリに関してもこちらを参考にしました。

続いて資料ベースでサービス概要を説明をします。
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※Microsoft Tech Summit 「PRD011 | ノンコーディングで業務アプリを作る PowerApps + Microsoft Flow 解説」 link

これまでの投稿で触れたとおり、様々なデータに対してUIを作成できます。

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※Microsoft Tech Summit 「PRD007 | CRM + ERP = Dynamics 365 が遂に登場!
PowerApps と連携した迅速な業務アプリ構築手法」 link

①PowerApps Studioという開発プラットフォームで開発を行います。
Webブラウザ版とアプリ版が提供されます。
②PowerApps Cloudというクラウド環境にアプリケーションは保存されます。
③PowerApps Web/Mobileという環境で実際の操作を行います。

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※Microsoft Tech Summit 「PRD007 | CRM + ERP = Dynamics 365 が遂に登場!
PowerApps と連携した迅速な業務アプリ構築手法」 link

実際の作成画面のイメージは上記のような画面で行います。
操作の多くが選択式となっており、コンセプト通りに簡易機能をスムースに作成できそうです。

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アプリケーションは上記からダウンロードできます。
一番右のデータゲートウェイは、オンプレミスにあるシステムとのデータ連携時に利用するアプリケーションです。

以上、サービス概要に触れてみました。
次回はPowerAppsでサンプルアプリを作ってみたいと思います。

実践 Dynamics 365 サービス概略(3) PowerApps/Flowの位置づけ

今回はDynamics 365リリースに伴い、新たに提供された「補助サービス」から
PowerAppsとFlowについて記載してみたいと思います。

なぜこれらのサービスが提供されたを類推しつつ、位置づけにふれてみたいと思います。

これらのサービスが登場する背景には2つの変化への対応があったと考えます。

1点目は「Salesforce1の登場」です。
※Salesforceの記述は記憶に頼っているところが多くあります。記述は必ずしも正確ではありません。
これはPowerAppsの登場に影響を与えたものであると思います。

PowerAppsはノンコーディングでUIを作成するプラットフォームです。
同様にSalesforce1も開発プラットフォームです。Dynamics 365の競合製品であるSalesforce.comのモバイル開発プラットフォームです。
2013年頃にリリースされ、モバイルのユーザービリティの向上に貢献していると思います。
特に、スマートフォンでの利用シナリオでかなり限定的シーンでの活用を推奨しています。

例えば、スマートフォンでの承認機能です。

ボタンクリックでの処理が簡易に実装できるようになりました。
また、承認すべきデータも様々な機能を持たせるのではなく、シンプルな表示を推奨しているようです。
自分の承認すべき一覧だけを表示させ、スマートフォンでのユーザービリティを向上させています。
ユーザーは迷うことなくシンプルに直感的に処理がスマートフォンで業務を行える環境を手に入れることができるようになりました。

PowerAppsはSalesforce1に対抗すべく位置づけられたサービスであると思われます。
故に実装すべきUIは複雑性があるものではなく、スマートフォンで操作可能な範囲の業務をシンプルで直感的な形で、
コーディングが不要な範囲でマクロが使えるようなITパワーユーザーの範疇において迅速に実現すべきものであると捉えています。
複雑な処理に関しては従来通り、ブラウザや高度なアプリケーションベースのリッチ画面機能を利用していくべきだと捉えています。

2点目は「クラウドサービスの浸透」です。
従来型のソフトウェアとクラウドサービスの大きな違いは、提供されるサービスの成長だと考えます。
従来のソフトウェアは買い切りの形式をとり、メーカーは販売を中心に考えます。
一方クラウドサービスは課金の形式をとり、メーカーは利用継続を中心に考えます。
長期的な利用の継続を推進するには、サービスそのものの魅力向上が不可欠です。
故にクラウドサービスにおいてはサービスの成長がより促進されます。

しかしながら、サービスの成長は容易ではありません。
1つの機能の拡張は、他の機能との不整合を引き起こす可能性を孕んでいます。
機能を追加する場合、十分なテストが必要となります。

従って、クラウドサービスの1モジュールはシンプルで小さいものになる傾向があります。
多機能を搭載する際には、より開発スピードと不具合リスクの低減するため、サービスを独立させます。

このようなサービスを業務で利用するには「使いやすいように使う」「つながるようにする」ということが求められます。

メーカーを超えてよりシンプルな機能のサービスが乱立した状況では、それぞれのメーカーが考える標準UIと
それぞれのメーカーが考えるUI拡張機能が提供されます。
「使いやすいように使う」には「共通的な操作で使う」ことと「使いやすいUIで使う」ことが必要となります。
PowerAppsはこれに対応するUI開発プラットフォームです。

メーカーを超えてよりシンプルな機能のサービスが乱立した状況では、そもそもサービス間のつながりがありません。
少なくとも自社で抱える従来型のソフトウェアやスクラッチのシステムとは、つながりが考慮されてません。
業務が高度化する一方でシンプルな機能の成長だけを期待してサービスを利用し続けるのは
変化への対応が遅れてく一方です。そこで、サービス間をつなぐ必要がより求められています。
従って、「つながるようにする」ことが必要となります。
Flowはこれに対応するデータ連携及び自動化のサービスです。

以上、サービスの位置づけについて触れてみました。
次回はPowerAppsとFlowの製品概要に触れてみたいと思います。

実践 Dynamics 365 サービス概略(2) 「CRM」機能の強化

ここでは「CRM」の機能強化に関して記載しています。
まず、「CRM」の機能強化の方向性に関して一言でまとめたいと思います。

「Dynamics CRM Onlineの延長線上の機能強化」

2016年12月時点ではこのように捉えるのが妥当であると考えます。
さらに延長線上の機能強化は2つに分類できると思います。
 ①従来からのブラウザ表示やタブレット/スマートフォンアプリの強化
 ②各業務を遂行するために特化した新たな観点からの機能強化
 ※この分類は私見に基づくものです。Microsoftの資料上はこのような分類はされていません。

①に関しては一例を以下に記載するに留めたいと思います。
 ・ビュー上でのグリッド(インライン)編集
 ・業務ルール、ワークフロー(プロセス)に関する新しいエディター
 ・新しいOutlook用CRMアプリ
 ・タブレット/スマートフォンアプリの全般的UI改善
 ・証明書ベースの認証
 ・ポータルサービス及び管理機能(カスタマーポータル、代理店ポータルetc)
このようなテーマと関連する部分をロードマップヘルプを参照して概要をつかみ、
キーワードを検索し、ブログ等で詳細を確認するのがよいかと思います。

②に関してはそれぞれのサービス毎に確認してみたいと思います。
まず、以下にサービス群を再掲してみたいと思います。
・Dynamics 365 for Sales
・Dynamics 365 for Customer Service
・Dynamics 365 for Marketing(2016年12月現在、未提供機能)
・Dynamics 365 for Field Service
・Dynamics 365 for Project Service Automation

一見すると何か新しいプラットフォームが追加されているように思えますが、
Dynamics CRM Online時代から一部、別ライセンスとして提供されていたものが1プランとしてシンプルに提供されるようになりました。
一方で、何が含まれるかを明確にする必要がでましたので名前を付けたというようなイメージであると捉えています。
では、それぞれのサービスに関して触れてみたいと思います。

・Dynamics 365 for Sales
このサービスは、従来からの案件管理機能の部分をイメージしてもらえればよいかと思います。
いわゆるフィールド営業が個々の案件を管理する業務に適用することが想定されています。
Dynamics 365リリース時点で特記すべき機能はありませんが、今後はAIとの融合が促進されます。
顧客情報のインサイトがより高度に参照できるようになったり、Azure(Machine Learning)と連携してリコメンド情報を表示したりする
ような機能がプレビューとして提供されています。

・Dynamics 365 for Customer Service
このサービスも、従来からのサポート案件管理機能の部分をイメージしてもらえればよいかと思います。
製品やサービス販売後のコールセンター対応業務に適用することが想定されています。
Dynamics 365リリース時点で特記すべき機能はありませんが、Universal Service Deskというアプリケーションを利用して
複数のシステムをあたかも1つのアプリケーションで操作しているかのような高い操作性を実現することができます。

・Dynamics 365 for Marketing(2016年12月現在、未提供機能)
このサービスは、従来のMicrosoft Dynamics Marketing機能のリプレイスになります。
Marketing Automationの業務は日々進化が早く、1つのプラットフォームで提供することが難しいものであると考えます。
このため、Dynamicsとは異なる別のサービスを組み合わせることでMarketing機能を提供しようとしています。
Dynamics CRM OnlineまではMarketing Pilot社のツールを吸収し、Microsoft Dynamics Marketingとして提供していましたが、
Dynamics 365のリリースと共にこのサービスが終息となり、今後はAdobe社のMarketing Cloudと連携をしていく方向性が発表されました。

・Dynamics 365 for Field Service
・Dynamics 365 for Project Service Automation
この2つのサービス部分は、2016年にリリースされた機能であると記憶しています。
Field Serviceは製造業などで発生する納品物の修理業務に適用することが想定されています。
稼働状況とスキルセットを加味してアサインを行ったり、タブレット/スマートフォンを利用して効率のよい移動と結果報告を行うようなことができます。
Project Service Automationはガントチャート形式で進捗を管理することができる機能です。
今後はMicrosoft Projectとの融合やERP(Operations)での統合も可能になっていく見込みのようです。

以上、「CRM」に関する機能強化をまとめてみました。
新しく言葉が生まれているので、複雑になっているように思えますが、大半は従来の延長線上にあるものです。
次回は「Microsoft PowerApps/Microsoft Flow」について記載してみたいと思います。
※「ERP」は提供されていませんので、記載を割愛します。

実践 Dynamics 365 サービス概略(1) 製品の位置づけと役割

2016年11月にDynamics 365がリリースされました。
今回のシリーズではこのサービス群に関して記載してみたいと思います。
まず、今回のリリースで発表されたサービス群を説明してみます。
Dynamics 365のサービス群は「CRM」「ERP」「補助サービス」で構成されています。

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参照元はこちら

「CRM」に該当するサービスは、Dynamics CRM Onlineのバージョンアップ相当である以下となります。
・Dynamics 365 for Sales
・Dynamics 365 for Customer Service
・Dynamics 365 for Marketing(2016年12月現在、未提供機能)
・Dynamics 365 for Field Service
・Dynamics 365 for Project Service Automation

一方、「ERP」に該当するサービスは、Dynamics AXのバージョンアップ相当である以下となります。
初めてクラウドサービスとして提供されます(以前は設置型のみの提供)。
・Dynamics 365 for Operations(2016年12月現在、日本市場は未提供)

Dynamics 365のサービス群はCRMとERPの融合を目指し、Dynamics CRM OnlineとDynamics AXの
機能強化と連携の強化を図ったものだと考えられます。これは企業活動におけるバリューチェーンの全体を
1つのサービス群で管理するものであり、デジタルトランスフォーメーションを推進し、生産性の向上を図ろうとするものであると思われます。

また、Dynamics 365で提供されるサービスには以下の「補助サービス」が存在します。
・Microsoft PowerApps
・Microsoft Flow
・Common Data Service(当初はCommon Data Modelと発表されたもの)

これらは前述したCRMとERPの融合目指すための補助サービスです。
Microsoft PowerAppsはより用途を絞った特定の業務を行うための専用UIをGUIベースで作成するプラットフォームです。
Microsoft Flowはデータ連携に関するサービスです。IFTTTと同カテゴリのサービスと考えてよいと思います。
Common Data Serviceは簡易業務DBです。SQL Server DBのような素のDBが提供されます。
CRUDの操作がアプリケーション依存しないため、より標準的で扱いやすい一方、
CRMのようなDB構造が提供され、より早く業務に適用することができます。
CRMとERP、もしくは外部システムとの直接連携が困難な状況において一度このDBを介して処理を行うことを想定してるようです。

以上、製品の位置づけと役割をまとめてみました。
・CRM機能の拡張
・ERP機能の拡張とクラウド化
・3つ(Microsoft PowerApps/Microsoft Flow/Common Data Service)の補助サービス提供

最後にライセンスの観点から補足を記載しておきたいと思います。
ライセンスは大きく3つに分かれます。
・「CRM」と補助サービスが含まれる「プラン1」
・「ERP」を含むすべてのサービスが含まれる「プラン2」
・すべてデータに参照のみをするユーザー向けの「チームメンバー」
※各サービスを個別に購入することも可能ですが、こちらの方がコストパフォーマンス高いです。
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参照元はこちら

また、ライセンスガイドに記載はありませんが各プランには以下のサービスが含まれます。
・Office Online
・SharePoint Online(プラン2)
・Project Online Service及びデスクトップクライアント
Dynamics 365を利用されるユーザーはOffice 365を契約しているケースが多いので、
Office Online/SharePoint Onlineはあまり意味がありませんが、Projectが含まれる点は利点です。

実践 Dynamics CRM環境運用 (8) 【新機能】Online環境のバックアップリストア

従来、Dynamics CRM Online環境のバックアップリストアは以下のような仕様でした。
バックアップ:MSが日次で取得
リストア:個別にSRで依頼

2016 Update1から、リストアを任意のタイミングで実施できるようになりました。
詳細はこちらを参照してください。

頻度や保存数に上限があってもいいので、手動バックアップと長期保存ができると
より柔軟な運用が可能になってくると思います。

【Tips】AppSourceの利用方法

先日、Dynamics365が発表されると共に、AppSourceも発表されました。
※詳細はこちら

AppSourceはストアを拡張したようなものです。
Dynamics CRM Onlineに適用できるソリューションも今後はこちらにアップされます。
こちらはプロジェクトベースの営業(プロジェクトサービス)のソリューションを適用する方法です。
今後はこのような手順でソリューションを利用してくことができるように思われます。
※ここでいう「ソリューション」はDynamics CRMにおいて画面構成を定義したファイルである
 「ソリューションファイル」とは全く異なります。